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20050703

Pere Ubu 『The Modern Dance』

The Modern Dance
『The Modern Dance』

アメリカン・アンダーグラウンドの重鎮だが・・・・・・

 ビーフハートの次はこれかな? ペル・ユビュとかペレ・ウブとか読む場合もあります。こういったアヴァンギャルドなバンドのなかでも、 小さな扱いをされているかわいそうなバンドです。結構素晴らしいバンドなのですけども、華がないのかなぁ・・・・・・? 扱いは小さくとも身体はデカイです。フロントマンのデヴィッド・トーマスは100kgをゆうに超える体格です!

 彼らはNYパンクの中の一つに挙げられるバンドです。と言っても、活動の場はNYではなく、 たしかクリーブランドですけども。テレヴィジョンやパティ・スミス、ラモーンズなど(←華があるね) と同時期に活動を始めました。 NYパンクはそれぞれの音楽性がバラバラなので、これといった音楽的特徴を示すことができないのですけども、 その中でもひときわ特異な音楽性を持ったバンドです。スーサイドやディーヴォなんかと同じように、突然変異的なバンドとも言えます。

不気味なペル・ウブ・サウンド

 とても息の長いバンドで、活動時期によって第一期、第二期、・・・、と分ける場合もあります。第二期には、 あのメイヨ・トンプソンが加わる!この『The Modern Dance』はデビューアルバムなので第一期ですかね。 実はプレ第一期とでもいうべき時代もあるのですが・・・・・・。このアルバムを一言でいうと、アヴァン・ガレージです。 演奏は荒削りなガレージロックなんですが、非常に不気味なサウンドです。猟奇的とも言えるような音楽。

モダンダンスを手に入れることはない

 二曲目の「Modern Dance」の話をしましょう。このバンドには元々ピーター・ラフナー※1というメンバーがいました (これがプレ第一期)。 ペル・ウブの前身であるロケット・フロム・ザ・トゥームズ―― 活動期間1年弱だったのに再結成しました。このバンドはデッド・ボーイズの前身でもあります。―― というバンドの頃から在籍していたメンバーです。彼は刹那的な生き方を信条としていたようで、 アルコールやドラッグの摂取量も半端なかったらしいです。そうして彼は77年に、とうとうドラッグ禍で亡くなってしまいました。

シャーロット・プレスラー※2:ピーターは死に憧れていたから・・・自殺みたいなものよね。私はそういう考え方が嫌いだった。 若くして死ぬのはロマンチックだという考え方がね。そういう考え方をどれだけ憎悪していたか、言葉では表せないくらいよ。

 (中略)死ぬ前の夜、ラフナーは両親の家で最後のレコーディングをした。
 (中略)60分間のアコースティック・テープには、ラフナーの新しいオリジナルと彼の好きなアーティストの曲が入っていた。(中略) 最も暗示的だったのは、つき合っていた女性の嫉妬深い夫にもられ20代後半に死んだブルーズ・シンガー、ロバート・ ジョンソンの曲を選んでいることだ。ラフナーが選んだ曲は“俺と悪魔”だった。
《今朝早く/あんたがドアをノックした時、
 今朝早く/あんたがドアをノックした時、
 俺は言った。「こんにちは、悪魔さん/行く時が来たんだね」》

クリントン・ヘイリン 『ルーツ・オブ・NYパンク』

 「Modern Dance」はそんな彼に奉げられた曲です。最後の詩は

believes in chance
he'll never get the modern dance

つまり「偶然を信じているから、永遠にモダン・ダンスを手に入れることはない」です。 このあたりの話は『ルーツ・オブ・NYパンク』(絶版)という本に載っているのですが、もうずっと友達に貸しているので確認ができません。 故ピーター・ラフナーに奉げた曲と言っても鎮魂歌ではなく、皮肉ったような、小馬鹿にしたような曲で、とてもウブらしいですね。

追記

 『ルーツ・オブ・NYパンク』が戻ってきました!やっぱり面白い本です。NYパンクの隅々まで言及している本なのに、 絶版というのは惜しいですね。本が戻ってきたので、上の引用文と下の解説文を追記しました。またこの本によると、タイトル曲「Modern Dance」だけでなく、最後の曲「Humor Me」もピーターに捧げられた曲で、このアルバム自体がピーターのアルバムだと言えるようです。


※1・・・・・・クリーヴランドのアンダーグラウンド・シーンの中心人物で、シンデレラ・バックストリート、シンデレラズ・ リヴェンジ、フィンズ、ロケット・フロム・ザ・トゥームズ、ペル・ユビュ、フリクション、ピーター&ザ・ウルヴスなどバンドを転々とし、 75年、3日間だけテレヴィジョンにいたこともあるが、どれも自分の考える音楽を表現するのには適さなかったようだ。『クリーム』 誌に定期的に寄稿しNYシーンを紹介していたが、77年6月死亡。

※2・・・・・・ピーター・ラフナーの妻。70年代半ば、クリーヴランドがアンダーグラウンド・シーンの中心であった時に活動した。 ニュー・ウェイヴ全盛時代は『CLE』誌や『ニューヨーク・ロッカー』誌に記事を書いていた。


Pere Ubu 『The Modern Dance』

  1. Nonalignment Pact
  2. Modern Dance
  3. Laughing
  4. Street Waves
  5. Chinese Radiation
  6. Life Stinks
  7. Real World
  8. Over My Head
  9. Sentimental Journey
  10. Humor Me

COMMENTS
暗くていいですよね。
夏の夜はぺル・ウブです。
この気味の悪いサウンドは一体なんだったのか。
現在においても奇怪すぎてあまり語られていないバンドですが、聴きなおすとそれなりに楽しめるんですよね。
Posted by 森本 at 2005/07/04
デヴィッド・トーマスの声はユーモラスですし、
使われているコードもそんなに
暗い響きのものではないんですけど。
でもやっぱり薄気味悪くて暗い印象ですね。
なんででしょうかねぇ?
Posted by よしだ at 2005/07/04
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