20041204

月の海@

月の海
月の海

Aへ続く

月の海を汚せばいい

 僕が彼らの音に初めて触れたのは、前身である「月の海を汚せばいい」がどっかのトランスロック・ バンドの前座として法政でのライブに出演したとき(2002年5月)です。そのときの音は、現在の月の海とはかなり異なっていました。 具体例を出すと、ギターとベースの弦をつばぜり合いのようにネックの辺りで擦り合わせたりしていました。 完全にメインのトランスロック・バンドを喰っていた(ように僕には思えました)。とは言ってもそのバンド、 チラッと見ただけですぐに月の海のメンバーである山本氏と飯を食いに行っちゃったんですが。

 月の海を汚せばいいのその自由で制約の無い姿に、僕は感動を覚えるとともに嫉妬も感じました。なぜ嫉妬を感じたかといえば、 その頃僕は山本氏とバンドを組んでいて、そちらのバンドより月の海を汚せばいいのほうがずっと面白く感じたからです。そのバンドは結局、 スケジュールの面やその他の面で完全な機能不全に陥って、残念ながら解散してしまいました。

遊ぶ子供

 それから僕は体調不良が長く続きまして、月の海のライブを見に行くことはありませんでした。ひさしぶり(2003年12月)に、 またしても法政で見た月の海は、以前見た月の海(を汚せばいい)とは全く違っていました。

 まずメンバーが違います! 以前見たときは4人だったはずが、5人になっています。サックスが加わっているし、打楽器奏者が2人になってるし、 パーカッションの数も増えてる!!

 違いはそれだけではありません。月の海を汚せばいいは主に構成(とその打ち壊し) に力が入れられていましたが、月の海は構成もさることながら、音響にもかなりの力が入れられています。 小物楽器類の多用(多楽器主義?)、ギターのエフェクトやボリューム奏法※、ドラムとパーカッションの重なり、サックスのエフェクト等々、 挙げたらきりがありません。

 ちなみに、僕は最初にそのエフェクトがかかったサックスを聞いたとき、「この音は何だ?うーん・・・・・・テルミンかな? でも誰もテルミンなんか弾いてないぞ?」と、ステージ上のメンバーの挙動をきょろきょろと見回してしまいました。 サックスの脇田氏が足元のエフェクトペダルを踏み込む動きに合わせて、音が変化しているのに気付いて、 やっとその不思議な音の発生源を認識できました(笑)。

 前に見たときもかなり素晴らしかったのですが、 やはり学生バンドといった感がありました。それが短期間の間に、素晴らしいバンドへ変身したことに僕は本当に驚嘆しました。 そのとき僕ははっきりと彼らの中に遊ぶ子供を見ました。 それ以来、ほぼ毎回月の海を見に行くようになりました。そのとき見た遊ぶ子供の姿が見たくて足を運んだのです。

あたりはずれ

 音と一体になって無邪気に遊ぶ子供、パワーと諧謔性に満ち溢れた音楽、 これが僕が評する月の海です。ただ、彼らのライブで必ずしもそのような音が聞けるとは限りません。その音は、僕の思うところでは、 2回に1回くらいの確率でしか出会えないのです。2回に1回はもの凄く素晴らしいのですから、 逆にはずれクジを引いたときは落胆も大きいです。

 はずれクジというのは、演奏にいつものパワーが感じられないという場合もありますし、 個々の楽器の音量のバランスが悪いという場合もあります。他の楽器の音に、脇田氏のサックスの音がかき消されてしまったり、 同じく田川氏のパーカッションの音が聞こえなかったり、 安藤氏のギターを柔らかに弾いたときの音やボリューム奏法が消されたりということがあります。

 それらの音は非常に繊細なニュアンスで成り立っているので、単純にボリュームを上げればいいというものでもないでしょうし、 逆に他の楽器のボリュームを下げれば、月の海の演奏の重要な要素であるダイナミズムが失われてしまいます。

 オールナイト・ ライブで一つ気が付いたのは、法政の学館大ホールや、ワンマンライブを行ったこともあるスター・パインズ・カフェでは、 その問題は全く感じられないということです。つまりハコの問題?あるいはPAか、もしくはたまたまそのように聞こえただけなのか。


※・・・・・・ ボリュームを0、もしくはかなり小さくした状態からギター等をピッキングしたのちボリュームを上げるという奏法。 逆にボリュームを下げたり、上げ下げを繰り返したりというパターンもある。その特徴的な響きからバイオリン奏法ということもあるらしい。

Aへ続く

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